■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[19d釋畜]■■■
釋畜の属記載は5種。にもかかわらず、文字項目無しで、突然にして、釋畜は6種になる。
 ≪釋畜-
項目無し  ━━"屬"記載無し
・・・彘五尺䝈・・・  ━━六畜
 「說文解字」-≪彑≫:豕 後蹏發謂之彘
 「說文解字」-≪豕≫:彘 竭其尾 故謂之豕
 「說文解字」-≪豕≫:豕而三毛叢居者
 竹山有獸焉 名曰毫彘[「山海經」西山經]
 雞豚狗彘之畜 爾不畜我 復我邦家[「詩経」小雅 我行其野]
 ≪釋獸-豬≫
豕 子豬 豬 䝐 幺 幼 奏者 豱
豕生三 豵 二 師 一 特 所寢 檜
四豴皆白 豥 其跡 刻
絶有力 䝈 牝 豝

・・・現代の育種で生まれた<畜>類との概念とは違っている可能性がある。家畜と捕獲野獣飼育がどう峻別されているのかわからないと、分類解釈は難しそう。(野生の捕獲猪も、仔の段階から飼えばヒトによく慣れるものの、去勢しないで成獣になると突然暴虐的になる。そこらの性情は馴化済ブタとは大きく違う。)飼育一般食用ブタは雜[人糞&炊事芥]粗食多産で比較的従順な性情が特徴だが、別途存在したと思われる王朝御用飼育の巨大イノシシは獰猛さが求められたのだろうから、ここらの峻別観にも注意を払う必要がありそう。

その辺りの考え方は、ずーっと後世の日本での見方が参考になる。
 ≪畜類-ぶた≫ [寺島良安[編]:「和漢三才圖會」卷第三十七]
牡 豭  牝 彘
去勢 豶 大 𤜸
豕子豬同 豚𣫔並同 猪:イノコ
和訓俗云布太 豕:ブタ
和訓井乃古 ^:ヰノコ
   (和名久佐井奈岐俗云井乃之々 野豬)@第三十八獸類-ゐのしし

【一言追加(イノシシ or ブタ)】
馬 牛 羊 犬の場合、遠い昔に完璧に家畜されていて、原生種が分かる筈もない状況。しかしながら、飼育されていても逃亡すれば羊以外は野生化も可能。つまり、野生=獣という定義からすると、家畜種という概念は混乱を生んでしまう。
ところが、ブタだけは、原種たる野生の猪が広範に存在。それを飼育することも可能で、そうなると家畜と呼べないこともない。一方、育種で馴化させたブタだが、野生化できるかと言えば戦闘能力を欠くので実質的には無理。
十二支の生肖として、馬 牛 羊 犬 鶏を入れるなら、これらの種はすべて畜であるから、入れるならイノシシではなくブタということになろう。倭国にはブタはいなかったことになり、猪は飼育される畜だったことになろう。

  

     

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