■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[19ha釋畜]■■■ 「爾雅」の分類には論理性が欠けており、王朝での流行りの観念で物事を解釈することを良しとする姿勢を崩すことが無い。現代からすれば、インテリジェンスを欠き、辞書の態を成さないことになるが、詩での雅語使用をお勧めする字書としては当然の選択。・・・儒教社会のなかでヒトとして扱われて生きていきたいなら、この程度を常識として暗記せよと、公的に定めた書なのだから。 そんな書の〆が<六畜>であることを軽く考えない方がよい。 ちなみに、「說文解字」の〆は<亥>[十月]。面倒なので、同類の発想としてしまうが、それは俗的な流れに抗する意味がなさそうだから。そこらを見越しての秀逸な記述と考えるべきである。・・・"一人男 一人女"の文字と判定されており、ブタとは関係ない。 こちらは官僚の基本姿勢であるご都合主義的な精緻な論理性を徹頭徹尾嫌っている書であり、原理原則を土台とした秩序論の世界を描いているからこうなる。ただ、儒教国に於ける学者とは政治家でもあるから筆を抑えるべき所には、用心深い書き方がなされてはいるので、現代人にとっては読み辛いが。 「古事記」成立期に於ける日本での家畜とは、祭祀に於ける生贄としての価値が期待されている、肉食用動物ではない。従って畜としてのブタという概念は存在していなかったと見るべき。羊など見向きもされなかったと見て間違いなかろう。牛馬以外は、特定領域での利用ということになる。 こんな状態で、日本列島住人が、<畜>という概念が理解できる訳が無いことを肝に命ずるべし。 ここらは、「山海經」を読む気が無いとピンとこないと思うが。 (<山&河川⇒海>の網羅的な地誌で、部族の本貫地とそのトーテムと文化的土壌の背景的環境が記載されている。従って、プレ儒教社会を想定できる優れもの。東アジアにこれ以上価値ある書は無いと言ってもよいと思う。)(日本の「古事記」に匹敵するが、類似性は無い。一方、「出雲風土記」は全面的に倣っている。) 儒教の宗族観念についても、その由来が読み取れる。総体としては、女系社会(巫型)だが、それに抗する男系指向部族(王権型)が少数存在した訳で。 言うまでも無く、総じてトーテム(特異生肖ID=偶像@祭祀)部族社会だったが、その本質は同一トーテム部族外との婚姻傾向。儒教の宗族内(同一姓)の婚姻絶対禁忌の出所はココにある。男系化転換には、この禁忌の厳格化こそが鍵を握っていた訳である。(倭:近親婚推奨) 女系社会とは、子育て土着化族ということでもある。これこそが、真正の<畜>を生み出す原動力となったともいえよう。「山海經」は200〜300もの動物名が登場するが、おそらくこのうち2〜3割が家畜系。<六畜>とは、こうした社会文化が6ッあったことを意味しよう。農耕より、畜の方が古層社会という見方を意味している。 例えば、"家"文字は、いかにも豚小屋風に映るが、宀とはヒトの棲む小屋ではなく神が居る廟であるからこその表現でしかない。プレ儒教社会では、ブタとヒトが極めて近しい生活実態だったからこれはこれで極めて正しい。 つまり、「山海經」ベースで、正確に呼ぶなら6畜ではなく、実態は60畜に近かろう。ただ、官僚的恣意性重視の6類観を至上観念とするためには、<六畜>を打ち出さざるを得ないことになる。「說文解字」の、現代では分類に値しない論理性欠落の<六書>同様である。 但し、<六書>は無理承知の2分類の3種類になっているだけだが、<六畜>は同様に分解しようとすれば錯綜しがち。これは、主導6地域のそれぞれの代表畜感覚が生まれがちだからでもある。 時期的には、紀元前5000年頃と見ることもできるので、通説を一切気にしなければ、畜化ストーリーは単純。 「山海經」を読めば、龍-鳥トーテム地域がヒトと近しい畜(ブタ 鶏/水鳥)「山海經」の根源らしいと気付くことになるが、それはどう考えても南部温暖域。 しかし、それとは全く異なる高度な馴化飼育として、草原域での原牛狩猟民の馬活用の流れがある。追い込みから柵内牧牛に進んだ訳で。 高原〜オアシスや北方は、ステップ大草原とは異なり、狩猟犬登場が画期だろう。必然的に、前者は羊類、後者は鹿の畜化へと進むことになるが、その後ブタと犬の地に。 「山海經」的な地誌からすれば、農耕は畜の後であって、前ではない。歴史的流れから言えば、狩猟⇒農耕ではなく、間に<畜>が入るというのが、「山海經」が指摘する姿である。さらに、「說文解字」は、小篆文字創出をもって国家の完成を見ているところからみて、猟(師)⇒畜(育種専門官)⇒農(奴)⇒工(武器用具)⇒商(度量衡)というコンセプトを持ち合わせていると言えそう。 つまり、猟⇒畜とは、トーテム発生期を意味することになる。 それは、黄帝や炎帝代よりずっと昔のこと。すでに熊や虎といったトーテム族が連合して戦闘集団化するまでに組織化されていたのだから。 ⏩続 (C) 2025 RandDManagement.com →HOME |