■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[19j釋畜]■■■ 「爾雅」には<〜也>的記載が📖 いくつか存在するという話の繰り返しでもある。そのどこに注目しているかと云えば、"也"を記載する必要がどこにあるのか、という点。雅語の雰囲気を壊す用法にしか思えないからだ。 <履帝武敏…【武 跡也】>@釋訓 <九罭 魚罔也 罦 覆車也>@釋器 <尚威武也 反尊卑也>@釋天 <梁山 晉望也>@釋山 <蝘蜓 守宮也>@釋魚 <鵲鵙醜 其飛也翪 鳶烏醜 其飛也翔 鷹隼醜 其飛也翬>@釋鳥 <尨 狗也>@釋畜 辞書では大同小異で以下の様な説明となる。もっとも、たいていは、細かな用例を示すことになる。 【也】 [句末(時に句中)表示肯定(or 疑問 感嘆 反語etc.)的語氣詞] classical final particle of strong affirmation, ・・・ [副詞] also, as well as, even, or, ・・・ [Jp.助動詞]〜である。/〜だ。 [Jp.助字]なり。/また、/か! 確かに、様々な意味で使われているが、この文字の本質はそういうことではないのでは。漢語は句読点が無いから、文末あるいは句末が曖昧な場合、"他"を入れることになるとの用法こそが原点とはっきり示すべきと思うが。しかし、洗練された最高級言語と考えている以上、それはできぬ相談。 従って、「爾雅」は、上記の箇所でしか使っていない。それなら、これらの限られている用例で、"他"で何を表現しているのかを考えるのが筋。しかし、それは無駄だと思う。・・・ここが肝心な点。どうして"他"を入れる必要があるのか解答できないなら、「爾雅」読み能力ゼロということ。 「說文解字」を眺めていれば、こんなことはすぐにわかる。全面的に"他"だらけなのだから。これを上記の様に、語氣詞あるいは副詞と呼ぶ人はいまい。両者は共に字書だが、これだけで、その精神は180度異なることがよくわかる。 つまり、「說文解字」執筆者は儒教政治勢力に属する官僚学者だが、公然と反旗を翻したと見ることもできる。 この見方が強引過ぎると感じたなら、ご自分のセンスを疑ってかかった方がよい。先ずは、辞書の漢字"也"項を改めて見返すとよい。そこに字書たる「說文解字」の字義が記載されているか要確認。その字義とは、儒教道徳からすれば、忌み嫌われる内容。それをわざわざ記載しており、危ない橋を敢えて渡ったのである。(宗教勢力としては、なんとしても葬り去りたい、"地"母神信仰を彷彿させる字義でもある。) お蔭で、後世の学者は代替語源を語り、なんとしてもその表面化を防ぐという面白い事態が生じている。「說文解字」はこんな風に出鱈目を書いている著作とも言えないから、儒教信仰者以外は笑いを囓み殺すことになる。(最高峰の字典として扱うなら、普通なら、真っ先に、どうして女陰にしたのかを解説するもの。そして、誤謬の理由を指摘することになろう。それができないなら、不詳とするしかなかろうに。) ・・・書き方が悪いのはご容赦のほどだが、嘲笑したい訳ではないので念のため。ご想像がつくと思うが、小篆字体が女陰に見えるとは言い難い。しかも、今のところ女陰用例も全く見当たらない。これでは、「說文解字」の解釈は極めて困難なのは当たり前。「字通」では、文字形成系譜上、断絶があるとの鋭い指摘がなされており、元義を水器と判定しているが、秦の小篆創出官僚は女陰文字と考えていた可能性もあるということかも。民俗的には、水器的な女陰と男根は、天竺では、現在まで連綿と続く信仰対象ということもあるし。 <也> :女陰也 [象形] @「說文解字」≪乁[流]≫ :匜(水器) @「康煕字典」(「六書正譌」) …「字通」同意 …似羹魁 柄中有道 可以注水@「說文解字」 :蠍@「漢字源」 :嗁@黃コェ :它@加納喜光:「漢字語源語義辞典」(容庚/「金文編」) …鉈≒釶/鉇/鍦≒匜 :(語末詞)殹 =匜/𠤷 迆 𠃟@「類篇」 ("秦時刻石"@「說文解字」) 𦬀@「康熙字典」 𦫴@「字彙補」 𠔄 [草体]𬼂/𬻿 ・・・ダラダラ書いて来たが、これでは真意は伝わらないかも知れぬので、一言付け加えておこう。 話語の全面文字表記化が行われたのだから、象形の<女陰>文字が創出されている筈、というのが「說文解字」の基本姿勢。そんな淫らな文字は文書で必要としないから消してしまえというのが儒教道徳。「爾雅」は後者の観念で大幅に手が入った雅語推奨本ということ。 ⏩続 (C) 2025 RandDManagement.com →HOME |