■■■ 小篆文字検討@「說文解字」「爾雅」[烏]■■■
🆂:孝鳥[象形 取其助气 故以爲烏呼]
 "カラスは目の位置が分からないので
  「鳥」の横線を欠いた ともいわれたが、
  これは小篆や楷書の字形に基づく誤った分析"
・・・との指摘がある。
しかし、誤っていようが、字体を覚えるのに便利だから、日本では廃れることはなかろう。しかも、定番テキスト段玉裁:「説文解字注」@清代の分析結果だから、それを後押しする人達は少なくない筈で。孔子がeye-deficientなる発言ありとしていることもあるし。(文献引用でないから、儒者によるお話だろうが。)
   注解段玉裁:「説文解字注」(清代注釈書@大徐本):
 孝鳥也
   {謂其反哺一也 小爾雅曰:"純K而反哺者謂之烏}
 象形
   {鳥字點リ 烏則不 以純K故不見其睛也}
 孔子曰:"烏亏 呼也
   {亏各本作盱今正 亏於也 象气之舒 亏呼者謂此鳥善舒气自叫 故謂之烏}
 [糹+⿱(勿牛)]古文烏象形
 [糹+仒]象古文烏省

この話を採り上げているのは、素人から見れば、目の表現と、烏の字体設計は無関係との指摘への反論はかなり難しそうに感じるからだ。
 ∵鳥類の甲骨には目らしき箇所は滅多に無い。
    (但し、甲骨での比定文字は確定しがたい。)
   金文は前向き有目字体のみでは無い。
    (上を向いて"鳴く"、無目象形がある。)
    この象形を重視した楷書も存在。
     [俗字]𭴚
   "隹"は無目で、"鳥"は有目とは言い難かろう。
      🅱🆂

結局のところ、鳴き声を、カラスの一大特徴とするか否かの問題では。

・・・文字表記では嗚@烏(≒呀@獸)、あるいは、(靈)鵶がある以上、声は重視されていると考えてよいのでは。もちろん、この特徴を文字化したカラスもある訳で。・・・
  鴉:n.a.   
📖鳥
  雅:楚烏  📖隹
小篆創成官僚は、カラスを特別扱いすることにしたものの、鳥類であることを示すべきということで、鳥文字表記は色々あるから、横棒が少ない"烏"とすることに決したと考えるのが自然だ。

と言うか、三足烏といった話がある以上、特別扱いせざるを得ないということだろう。(唐代の書「酉陽雑俎」が参考になる。)
  --- 別表記例 ---
  喜-(唐がらす)(…鵲はカササギ or 高麗がらすだろう。) 鸒
【日本語俗称分類名称】里烏/慈烏 深山烏/岳烏
       熊野烏/那智烏 都烏 蝦夷烏
       大嘴烏 K丸烏

【日本語瑞鳥名称】三足烏("太宰府貢〜"@「扶桑略記」)
      赤烏("筑紫太宰府貢〜" "相模國司獻〜雛二隻"@「日本書紀」)
【事績名】八咫烏@「古事記」
【倭語音】可良須@「萬葉集」
【近世見方@芭蕉】小を烏鵲といふ
        大を觜太といふ 此鳥反哺の孝


段玉裁:「説文解字注」@清代は非常に優れた注釈書とされ、必須文献と見なされている。この書には、六書音均表と名付けられた発音解析がなされており、古字"音"検討の事実上最高峰と見て間違いない。(それが適応可能なのは「詩経」用法以後だと思うが。現時点では、漢字を使用している辺境の文化吹き溜まり地帯[但し、歴史偽造のための焚書がなされていないことが必須条件。]の発音を参考にする方法論か、明確化されている古文字母集団の字義と音の関連性から、「詩経」以前の発音を推定するしかなかろう。発音表現の基本理論が確立されていない以上。)字体論は六書定義ができていない以上、素人は参考にしない方がよいと思う。

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