■■■ 小篆文字検討@「說文解字」「爾雅」[犬(続)]■■■ 対照的な2種の存在を示したかったから。・・・ 🅱 ㊎[殷] 🆂 ㉆犬 Ⓔ🐕 現代常識的な横型配置表記の金文㊎と、縦型の甲骨🅱が、殷代では併存していたのである。 当たり前だが、この形状こそが生きた犬そのもの。モニュメント的誇示用文字として用いるなら、こちらが好まれることもあろう。 同時代の甲骨は、呪術用語だから、縦型になるのは当たり前。普通に考えればそれは屠殺体を意味するからだ。畜の文字では、廟での奉納形態上、牛羊の様に頭部だけのこともある訳で。(野生動物の文字も狩猟後持ち帰った姿の象形が原則だろう。) この横型金文からすれば、犬の特徴はこうなる。・・・ ①鼻先頭 ②大開口(鋭利歯は重要では無い。) ③頭上立耳 ④長胴 ⑤前肢(実際は5趾) ⑥後肢(実際は4趾) ⑦上卷長尾 犬の役割は猟牧玩警(軍)牲と多岐に渡るが、当該表示犬がなんだったのかはわからないものの、縦型であれば犠牲と考えるべきと思う。その割には、用法的には蔑称扱いが多いのが不思議だが、儒教的な宗族第一義の視点から見れば、お馬鹿さんそのものに映るということか。 しかし、楷書を、小篆の連続文字とみなせば、<𠂇…身体(2脚+頭)+丶…耳+㇏…尾>≒<大…省耳部分>との設計方針と考えることになってしまう。ヒト-イヌ同等扱いに踏み切ったことになる。 しかし、この見方には問題がある。🆂と㉆の違いとして注目すべきは、尾に当たる箇所の形状が伸ばしになっており、巻上を廃止している設計変更の方。犬の品種は多く、巻上尾でないタイプも増え、短尾も珍しくなかった筈。当然、耳垂れ犬も存在している訳で、イヌとヒトの違いを示すとしたら、それは耳では無く<尾>の存在。従って、イヌは<大+丶…尾>ということになる。 「說文解字」は、甲骨や金文の認識は無かった可能性が高いが、小篆創成官僚の文字設計姿勢には気付いていたと見てよさそう。本稿の原文では、<孔子曰>の部分は切り捨てているが†、犬部には次の引用があるから。・・・ 孔子曰:"視犬之字如畫狗也" 同時代ではない孔子の"言"が文書外で伝わる訳がなく、儒者の一派が広めたお話。「說文解字」がその手の情報を引用する意味がないから、一種の面白話としてエスプリを効かせるために書き足しただけと見て。 †書からの引用はかなり目立つが、辞書では無いので、字義の用例記載とは目的が違う。巻毎に別途一覧にしてある。 (C) 2026 RandDManagement.com →HOME |