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2009.6.17
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茄子づくし料理…


 “づくし”とは “だらけ”料理と 言えまいか。

  「尽くし」料理は、普通は、豆腐や鰻・鱧あるいは蟹のような蛋白系のもの。
  例外は、野趣を堪能する、山菜や筍づくし。
  天邪鬼にも、茄子ばっかりの料理を考えてみた。

Photo by (C) Tomo.Yun >>>
 紫蘇系と芹系のハーブについて解説してみた。さらにスパイス的な方向に進みたいところだが、そこは我慢。
  → 「紫蘇系」「芹系」 [2009年5月20日/6月3日]
 様々な香りの喜びを知ったら、それを料理設計に生かすスキルを身につける必要があるからだ。
 などと言うと、硬い話に聞こえるが、要は、普段から、ハーブの香りを楽しむようにしようということ。と言っても、目新しい芳香を取り入れようというのではない。香りを意識した料理をしようというだけのこと。

 それではどんなハーブがよいかと考えたのでは駄目。その段階は卒業したのである。
 先ずは、食材を決め、それをどんなハーブで、どう調理して楽しむか、自分の頭で考えること。

 前置きが長くなったが、早速始めよう。
〜ナスの調理方法〜
非加熱 生(塩揉み)
醗酵(漬け物)
単純
加熱


油加熱 油塗焼

 それで、食材だが、適当なものがある。ナスである。すでに、取り上げた料理の再掲という訳ではない。今回は、視点が違うのだ。
  → 「茄子料理への誘い」」 [2008年4月9日]
 俗に、味噌と油があうとされているが、様々な調理がなされており、味に慣れているから。・・・糠漬けや焼き茄子といった和風サッパリ味もあれば、茄子麻婆やナスグラタンといった中華や洋風料理まで。
 しかも、調理の種類は色々。
 まあ、正直に言えば、廉価な食材だから、気楽になんでも挑戦できるということだが。

 と言っても、ナス料理と言われて何を想うかは人それぞれ。
 小生は、夏の、茄子焼きが好きである。焼いて皮を剥いたものに、おろした生姜醤油で食べるだけの素朴な料理である。スパイスとしての生姜はあるが、ハーブは無い。ハーブを楽しむ習慣が欠けていると見ることもできる。調味料としては醤油は使うが、旨み成分は加えていないし、油分もない。それが、和風の極意と言えないこともないが、ここに留まっているとハーブの楽しみを味わえない。工夫が必要なのである。

 それならどうしたらよいか。

■■■ ナスの炒め物料理 ■■■
〜イタリアン〜 〜 和 風 〜 〜 中 華 〜
- ハーブ - パセリ 大葉
- 旨み - ベーコン 昆布出汁 豚挽肉
- 調味料 - パルメザンチーズ
塩胡椒
味噌・味醂 オイスターソース
- 油 - オリーブ油 菜種油 胡麻油
 実は簡単な話である。ハーブ、旨み、調味料、油の組み合わせを自分で考えればよいのである。例えば、右表のように。
 当然ながら、調理方法は考えればよい。
 例えば、イタリアンなら、
    ・炒めて、茹でたてパスタと絡める。
    ・オーブンで焼いて、一皿に。
 和風も同じこと。
    ・半分に切り油を塗って焼き味噌ダレを付ける。
     (表面に格子切り込みを入れる。)
    ・半月切りにして、味噌炒め。
    ・丸ごと炒めてから、煮る。(味噌を醤油で代替)
 まあ、組み合わせはいくらでもある。ハーブを変えてもよいのである。大蒜好きなら、それを入れてもよいし、ピリリ感が欲しいなら唐辛子が加わるだけのこと。

 言ってみれば、商品開発をしているようなもの。
 顧客をはっきりさせ、その顧客が何を喜びそうかじっくり考え、琴線に触れるために使えそうな自分のスキルを見つけ、インパクトある商品イメージを作り上げるのとたいしてかわらない。
 従って、自分にそんな力量など無いと考える人は、お止めになった方が賢いかも。

■■■ 酢味が効いたナス料理 ■■■
〜イタリアン〜 〜和食〜 〜中華〜
- ハーブ - ドライバジル 茗荷 香菜
- - パルサミコ 橙汁(ポン酢) 黒酢
- 旨み - 生ハム 和風出汁 腸詰
- 調味料 - 塩・胡椒 醤油
- 油 - オリーブ油 胡麻油
 つまらぬ講釈はこの程度にして、もう一つの組み合わせも記載しておこう。それは、「酢」を使って酸味を楽しむ料理。
 小生は、茄子を蒸して、手で縦に裂いたものが好み。大根おろしに浅葱とか木枯柚子汁が合う。再仕込み醤油を数滴垂らすとその香りが立ち嬉しいものである。
 酢無し料理と同じように考えることができよう。表にしてみたのでご参考まで。
 調理方法は、焼いても、蒸しても、軽く炒めても、揚げても、何でもよいのである。違うハーブを使うこともできるし、酢にしても、和なら柔らかな味の醸造米酢でもいいし、梅干に換えることもお勧めかも。まさに好き好き。
 言い方を変えれば、ご自分で設計して、試してみるだけのこと。

 ここでご注意。
 表を作っているからと言って、分析的に料理を考えている訳ではない。
 整理しないと、全体像が見えないから。こんな表を作ったところで、料理上手になるとは思えないし、創造的になることは稀。料理の“クラフトマン”を目指すのでなければ、こんな整理にたいした意味はない。しかし、凡人にとっては、このような表を作らないと、“ナスの料理とはなにか”を考えることができないのが普通なのだ。それだけのこと。
 また御託を並べてしまったが、それでは、どんな茄子料理をお勧めしたいのか、一例を示しておこう。香りを楽しむ料理である。(茄子は、他の香りを邪魔することが無い。)

■■■ 茄子の突き出し ■■■
・茄子のヘタと尻部分を切り取り、皮を多少厚めに剥く。
 (常識に反する生食に挑戦する。皮はよく洗うこと。)
・剥いた皮を水で晒し、塩で揉む。皮以外は次の料理に。
 (時間があるなら、塩揉みでなく、日光乾燥もあり。)
【和の場合】
 -醤油・出汁・酒を混ぜて軽く煮たものに練り和辛子を溶き入れて冷ます。
 -生の三つ葉を手で契り、茄子と混ぜ、作った汁をかけて頂く。
【洋の場合】
 -バジルと玉葱の微塵切りをオリーブオイルで和えて胡椒を振る。
 -茄子にかけて頂く。
■■■ 冷製茄子ゼリー ■■■
・皮を剥いてある茄子の身を蒸す。
・冷めたらぶつ切りにして小さな容器に分けて入れる。
【和の場合】
 -細く切った大葉と茄子を混ぜる。
 -醤油・出汁・酒を混ぜて軽く煮たものに、粉寒天を溶かす。
 -液体を注ぎよく冷やす。(山葵で頂く。)
【洋の場合】
 -セロリの茎を切って細かなサイコロ状にしたものを、茄子と混ぜる。
 -ブイヨンを溶かし暖めたら、ゼラチンを溶かす。
 -液体を注ぎよく冷やす。
■■■ 茄子焼き ■■■
・ヘタと尻を取った茄子の身を縦に薄切りして水に晒す。
【和の場合】
 -水切りした木綿豆腐を潰し練り胡麻と混ぜる。
 -醤油・出汁・味醂を混ぜて軽く煮たものを加えさらによく練り混ぜる。
 -片栗粉を茄子にまぶして、油をひいたフライパンで焼く。
 -焼き茄子に胡麻味の豆腐ペーストを乗せ、浅葱をちらして頂く。
【洋の場合】
 -アンチョビと玉葱を刻み、ベイリーフを入れたオリーブオイルで炒める。
 -塩・胡椒で味を調整する。(トマトも入れたいところだが。)
 -茄子にかけ、軽く焼く。
 -しばらくしたら、チーズと少量の乾燥オレガノを振りかけてさらに焼く。
■■■ 飯・汁/パン ■■■
【和の場合】
 -新生姜と油揚を細切りにする。
 -具と醤油・出汁・酒を適当量入れて、御飯を炊く。
 -茄子の半月切りと小町麩を実にしたお味噌汁をつける。
  (油揚を入れたいところだが、重複するので避ける。)
【洋の場合】
 -バケットを縦割りにして軽く焼く。
 -ガーリックバターを塗り、パセリを散らして焼く。

 --- 参照 ---
(ナスの若実の写真) Photo by (C) Tomo.Yun http://www.yunphoto.net


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