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2000.8.19
 
 


石油資源の不透明性…


 直面するエネルギー問題の課題は、石油の資源探索と資源確保に集約されよう。

 この問題は深刻である。石油無しでは、経済は1日ともたないにもかかわらず、石油供給の保障など無いからだ。日本はほぼ全量、資源大国の米国でさえ、海外に3割も頼っている。当然のことだが、石油資源確保が国家の生命線といえる。

 従って、冷戦終結後の大規模な国際「紛争」地帯は、原油問題に絡む地域にならざるを得まい。
 例えば、誰が見ても、中東からの原油安定供給体制の確保が、先進国にとっての死活問題である。「異教徒が中東地区の資源を支配しているが、本来、この資産はアラブ全体のものとして活用すべきものだ。」との汎アラブ主義が高まれば現行の安定供給体制は瓦解しかねない。こうした火種を米国が黙認するだろうか。
 北朝鮮にしても、渤海の原油埋蔵量がどの程度あるかによって、米国の対処策は変わってこよう。政治的安定をはかり、この原油にアクセスするためには、どのようなシナリオがベストかということになるのではないか。(その上、北朝鮮のミサイル・軍需産業を抑える必要もある。)

 日本政府が政治的に弱体との批判もあるが、こうした動きの根底にあるエネルギー問題に対して的確な判断がつきにくい限り、限定的な動きしかできまい。膨大な2次情報をいくら収集しても、資源探索技術を持たない限り、世界の動きを推量するのは困難だ。東アジアの石油資源はいったいどの程度のポテンシャルをもっているのかによって、政治地図も塗り変わろう。こうした情報は極めて乏しいし、議論も目立たない。

 中国やインドという超大人口の国々が急速に近代化され、エネルギーの需給バランスが変わり始めている。原油産出国での政治紛争発生が原油価格高騰に直結するという不安定な状態は避けられまい。
 そうなると、原油ベースの産業は揺さぶられる可能性が高い。原料転換を迫られる時代が思っている以上に早い可能性もある。そろそろ、見極めをつける時点に到達したのではないか。もしそうなら、周到な準備が必要なのは言うまでもなかろう。


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