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2003.4.8
 
 


米国太陽電池産業の急伸長…

 カリフォルニア州の太陽電池設置促進施策が一気に進んでいる。売電と買電の差額決済システムを認め、設置費用補助金を広範に提供し始めたことが奏効しているようだ。 (http://www.consumerenergycenter.org/erprebate/index.html)

 需要が急増しているようで、需要供給バランスが大きく崩れ始めている可能性さえある。

 Shell Solarの2003年3月の発表だけでも、凄まじい動きが見てとれる。(http://www.shell.com/home/Framework?siteId=shellsolar)
  ・3月26日:世界初の灌漑用ポンプ動力(50馬力)--Mendota
  ・3月19日:1.76kWの野生生物保護施設のモニター用--Hopper Mountain
  ・3月11日:ロサンゼルスに73kW のシステム
  ・3月10日:病院として最大発電容量(150kW)--Salinas Valley

 もともと、Shellは脱炭素戦略だから熱心なのは当然とも思えるが、他社も積極的に動いている。PowerLight Corporationもカリフォルニアで続々とソーラを設置しているようだし、BP Solarも家庭用パネルシステムビジネス展開に注力している。Energy Conversion Devicesのようにデバイスやトータルシステム開発で先行する企業もビジネスを本格化している。(http://www.powerlight.com/index1.cfm http://www.bpsolar.com/ http://www.ovonic.com/)

 ついに、米国は、政策主導で太陽電池産業勃興に成功したようだ。

 太陽電池生産量は1998年までは米国が世界1位だったが、その後日本に地位を奪われた。1994年から始まった、政府の補助金施策で日本企業が生産能力増強に動いたからだ。
 このままなら、太陽電池産業の競争力が失われかねないから、米国政権が放置するわけはない。日本の政策を越えた徹底した産業振興策を打ち出すことは予想できたことである。

 結局、米国は、「100万戸ソーラ」という、国民に訴える形の施策を核にして、太陽電池産業基盤確立を狙うことになった。(http://www.millionsolarroofs.com/)
 こうした政府の施策と、民間企業の動きの波長が一致したのである。米国社会の特徴を考えれば、急速に産業が発展する可能性が高い。

 一方、日本は、最近は積極振興策を避け始めている。ソーラ浸透の行きすぎを心配し始めたのだ。
 産業勃興の「きっかけ」創出を政策の核にする米国政府と、建前重視の管理型の振興策で関連産業界の様子を伺う日本政府の違いが歴然としてきた。


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