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海胆の話  2017年9月15日

ばふんうに の話

 夏深し 山盛馬糞の 殻だらけ
     海藻が旨い地域の生海胆は絶品。

海胆は、獲ったらその場で殻を割って、海水を注ぎ、ママか醤油一滴で食べるのが一番。そんなことがおいそれとできる訳はないが。
そんなこともあって、家で食べるなら、生海胆よりはアルコールを微妙に感じる瓶詰雲丹の方が好み。最近、麹タイプを食べたが、これもなかなかのもの。

と言うことで、食べることができるタイプを再度取り上げることにした。
  → 「うに の話」[2005.7.1]

海胆シリーズで書いて来た最終パートでもある。・・・

┌────【通常概念の体形】中生代繁栄絶滅群
┌┤トンデモ造形派(古生代型)"キダリス"[→]
│└────【通常概念の体形】異常形状棘擬似的海胆群

┌──【異形】放射対称饅頭型[→]
│┌─┤ランタン歯無し系
││└──【異形】左右対称ハート型"分福"[→]
└┤正統造形派
【異形】放射対称卵型[→]
┌─┤
【異形】放射&崩れ左右対称の扁平菓子パン型[→]
└─┤ランタン歯有り系
毒細棘系(代表:岩隠子)[→]
└─┤【通常概念の体形】お馴染み棘栗毬型[→]
食用系(代表:馬糞海胆)

一応、食用としてはいるが、ガンガゼの類も可食であるから、それを覗いた栗毬的な海胆の類といったところ。
しいて分ければ4ッあるので、順に見ていこう。

日本の本来的な定番は馬糞海胆と紫海胆。ただ、他の種も(ガンガゼも含め)食用にはされているようだ。(下記リストでは★を付けた。)板ウニにすると、馬糞はオレンジ色に近く、それと比べると紫は色が褪せて白っぽいし、味にしても前者の方が濃いとされているので、人気が高いようだが、名称からすれば後者の方が品格がありそう。
それにしても、食用の種に、どこにでも落ちている馬糞をあてるところを見るとどこにでも沢山いたのであろう。
それが、至るところで喰い尽くす勢いで獲られたのだろうから、限られた地域以外が出荷できなくなるのも当然のこと。結果、北海道産が主供給地となり、北方種である蝦夷馬糞海胆と北紫海胆が代表の地位を獲得するに至ったということか。
と言っても、国産で足りる筈がなく輸入全盛。下記リストの海外種がターゲットになった訳である。

■アルバシア系■
 明日なろ海胆(アルバシア類)/皇冠海膽
  弁天海胆/腔海膽 Coelopleurus
  地中海アルバシア@ブラジル〜アルゼンチン
 乙姫海胆
  浦島海胆
 津軽海胆("本海胆擬")

■本物■
 本海胆/正海膽/Green sea urchin
  チリ海胆
 大馬糞海胆
  馬糞海胆/Japanese green sea urchin★
  蝦夷馬糞海胆
  北馬糞海胆/Short-spined sea urchin
  赤海胆/Red sea urchin★
  北紫海胆/Northern sea urchin★
  アメリカ大北紫海胆/Sea urchin
  北洋大馬糞海胆@北米北大西洋, 北海
  ヨーロッパ本海胆
  ヨーロッパ大海胆
  ヨーロッパ馬糞海胆
 長海胆/Rock Boring Urchin…丈夫なトゲですゾ的な主張
  本長海胆 爪白長海胆 姫黒長海胆 琉球長海胆
  紫海胆/Purple sea urchin★…これぞ栗のイガイガ
  アメリカ紫海胆
  ヨーロッパ紫海胆/Sea urchin@東大西洋〜地中海
  ニュージーランド海胆/"Kina"@NZ
  パイプ海胆…棘を喫煙用パイプに利用したそうだ。
  陣笠海胆
  束子[タワシ]海胆
  大西洋長海胆
  砂利海胆/Helmet urchin or "kaupali"@ハワイ
 長海胆擬
 喇叭海胆…棘が目立たないが、毒は強烈とか。
  白鬚海胆/White spin sea urchin★
  アメリカ白海胆@北米南大西洋
  大西洋白鬚海胆@カリブ
  斑海胆

■山椒系■
 山椒海胆/刻肋海膽…食用とは思えないが、刺激味なのだろうか。
  小手毬海胆
  腰高海胆/Blue Tuxedo sea urchin
  蟋蟀海胆
  【絶滅】昔山椒海胆/雕曲海胆

■黒系■
 黒海胆/口鰓海膽…珊瑚礁によくいる。

(参照) 酒井勇一:"世界のウニ、チリのウニ━国際学会「Sea Urchin 2003」に参加して"北水試だより 61 2003年

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