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2005.9.12
 
 


炊飯器開発の問題点

 電気炊飯器の機能を生かす新しい動きが目立つ。
  → 「『調理革命』本を読んで 」 (2005年8月24日)

 こうした動きを活用して米国に浸透できたらと思うが、どんなものだろうか。(1)

 米国の調理法は、素材をオーブンに入れれば終わりという、お手軽なものが多い。電気炊飯器なら、お手軽さでは負けていない。結構美味しいから、新しい調理方法として提起することも可能な気もする。

 ともあれ自動電気釜が登場したのは1955年のことだから、はや50年。(2)

 当然ながら、成熟した市場だが、ご飯の品質向上のための技術開発は絶えることなく続いている。
炊飯器の新技術
1972年 保温機能搭載
1979年 マイコン制御
1988年 IH方式
1996年 圧力IH方式

 なかでも注目されたのは、「強火仕込み 可変圧力IHおどり炊き」の登場だ。(3)

 大ヒットしたため、競合もいっせいに新技術投入し始めた。おかげで、今や、スチーム、超音波、高圧、真空と百花繚乱状態である。
 釜も様々な工夫がこらされている。工芸品を思わすような素晴らしいものまで登場した。

 もっとも、これだけ各社が努力しても、関心を払わない人も多い筈だ。

 2001年に公表された商品テスト結果からみると、気にとめない人もいそうだ。
 結果は予想された通りだった。IHの方がヒーターより美味しいが、IHなら高級品でもたいした差はないというものである。

 IHは高温で炊けるから、テストなどしなくても、歴然とした差がでる。しかし、IHで釜の加熱の仕方を変えても、よくわからないという報告である。ありそうなことである。
 と言うのは、味に敏感な人とそうでない人がいるからだ。この調査は、おそらくそんなことをしていない。
 つまり、一寸した炊き方の差に気付き、それを美味しいと感じる人は少数派だという結果に過ぎない。

 “わかる人”に応える商品に対して、国民一般の目から見る商品テストを行なう意味は薄いと思う。

 とはいえ、商品を選ぶのは大変であることは間違いない。

 1リットル(5.5合)釜だけで36機種もある。1升、3合もあるから、凄まじいモデルの数である。店に並ぶのはそのうちの極く一部である。
 価格差も凄い。ウエブ販売サイトを見ると、5,450円〜64,800円となっている。(5)

 まさに熾烈な開発競争が繰り広げられているのだ。

 そこで、炊飯器の意匠登録者で競争状況を眺めてみた。19社が参入している。おそらく、この約半分は本格的な新機種開発競争を繰り広げていると思われる。(5)
 これほど沢山の企業が開発競争をして、十分な収益が見込めるのか心配になる。
 トップシェア企業とプレミアム価格をとれる企業を除けば、かなり苦しい事業になるのではないだろうか。

 そろそろ抜本的に考え直す時が来ていると思うのだが。

 --- 参照 ---
(1) 米国での販売例 http://www.chicagofood.com/shop/g_list.asp?page=0&p_group1=1&p_group2=1&item=Cookware&item2=Rice%20Cookers&sort=p_price
(2) http://www.eccj.or.jp/toprunner/cooker/ref.pdf
(3) http://techon.nikkeibp.co.jp/monozukuri/content/2004_07/report01.html
(4) http://joshinweb.jp/servlet/emall.odr_wp?SHP=3&PID=HOME&CRY=1565&PGN=0&LVT=1&MKN=&ST1=&SRT=5&LVC=20
(5) http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/isyou_map/suihanki/doukou/sui1_2_4.htm


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