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2002.10.13
 
 


腐敗の元凶はメインバンク制度…

 メインバンク制度が日本の産業を支えてきたと言われ続けてきた。しかし、この仕組みが産業の発展に貢献してきたという論理的根拠は曖昧だ。
 メインバンクから派遣された優れた経営者が企業の経営を立て直した例は目立つが、数は少ない。しかも、20年以上前のことが多い。

 一方、反証が報告されている。驚くことに、日本の上場企業の1956年からの40年間のパフォーマンスデータを検討すると、メインバンク制度は企業の生産性向上にはほとんど寄与していないのだ。(堀内・花崎「なぜ日本は深刻な金融危機を迎えたのか―ガバナンス構造の展望―」経済経営研究 1997)
 メインバンクが外部から動きを監視することで、企業の生産性が上がる訳ではない。市場の競争が生産性を上げたという。

 大企業は、80年代後半から、借入金による資金調達を大幅に減少させた。特に90年代後半は一気に借入金減らしに動いた。さらに、景気低迷に対応し、内部資金中心の運用に移ってきており、経営に自信がある企業にとってメインバンクなどなんの意味もない。

 今や、メインバンクを頼りにせざるを得ない大企業とは、業績低迷に苦しむ企業のことだ。

 とはいうものの、経営権の安定のために、メインバンクを中心に株の持ち合いをしてもらう必要があると語る人もいる。しかし、日本では第三者割り当てがすぐにできるから、TOBの恐れなどほとんどない。

 メインバンク体制は、もはやなんの意味もない。
 にもかかわらず、産業界には、メインバンク体制維持を望む人が多い。

 これが、日本の金融腐敗の元凶である。


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