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2003.4.23
 
 


財政破綻(3:残り時間は僅か)…

 日本経済は、日銀がハイリスクの賭けを始めざるを得ないところまで事態は悪化した。
しかし、未だに国家財政の俯瞰図が提示されたこともないし、詳細な債務状況も開示されていない。国会には調査権があるにもかかわらず、誰も動こうとしない。どう見ても改革の意志などない。にもかかわらず、このような人達がマスコミに登場して、小泉改革批判を語るのだから始末が悪い。

国債 500〜600兆円
地方債 150〜200兆円
財投債等 100〜200兆円
合計 750〜1,000兆円
 なにせ、道路公団の財務データでさえ、猪瀬直樹氏の必死の活動で、ようやくわかった位である。
 こんな状態だから、本当のことはさっぱりわからない。
 そのため、様々な話しが飛び交う。3年後には破綻、と深刻そうに語る人もいれば、消費税増税でしのげは頑張れるから悲観すべきでない、と平然と語る人もいる。

公務員退職金 20〜30兆円
共済年金等 160〜170兆円
未払金等 10〜30兆円
合計 190〜230兆円
 このような場合は、下手に判明しているデータを集めて分析するより、間違いを恐れず、すべてを大雑把に推測し、大局観を掴んだ方がよい。

 ということで、2003年の公的債務合計を「いい加減に」推定してみよう。おそらく900兆円近い。もちろん、これだけではすまない。公務員の退職金/年金といった実質債務を入れる必要がある。おそらく約200兆円が加わることになろう。

国鉄清算事業団 15〜20兆円
中小企業債務保証 30兆円x30〜50%
預金保険機構 60兆円x20〜30%
特殊法人/第3セクター 30〜60兆円
合計 66〜113兆円
 キャッシュフローを考えるなら、これらの負債だけでなくライトオフ発生を想定しておく必要がある。
 こちらの数字は振れが大きい。例えば、国鉄清算事業団の損失にしても、結果次第で変わる。しかし、常識的に見て、かなりの部分が返済不能になるのは間違いない。中小企業債務保証の焦げ付く割合もわからないが、経過を見る限り、怪しいものが多いから相当部分をライトオフせざるを得まい。預金保険の損失や、第3セクター破綻のレベルも人によって見通しは異なるだろうが、復活見込み薄の事業が多いから、少額で済む筈がない。
 合算すれば、100兆円程度が発生することになろう。

 500兆円程度の国民所得で、これだけの負担を背負っている。普通なら、キャッシュフローが回らずとうに破綻している筈だ。ところが、そのような兆しは感じられない。その理由ははっきりしている。民間部門のキャッシュ需要が滞り、膨大な個人資産から、公的部門にキャッシュが流れ続けているからである。
 要するに、現在の負債レベルは、個人資産でカバーできる範囲に入っているから、問題化しないだけの話しだ。ところが、この状態は何時までも続かない。このまま毎年数十兆円の負債増を続ければ、数年後には流入限度に近づく。
 そうなると、中国に債権を購入してもらうしかあるまい。それが無理なら、公的部門でキャッシュは回らない。残るは、日銀の際限なき債権引受だ。国家財政破綻である。

 雑な推算では、破綻までの残り時間は僅か、となる。実数がわからない以上、大胆な仮説の域を越えないが、大きな流れとしては間違いないと思う。
 どう考えても、小泉改革をタネに、机上の空論を戦わす余裕などない。

   過去記載の
   ・「財政破綻(1:日銀だのみ)…」へ (20030421)
   ・「財政破綻(2:小泉構造改革の是非)…」へ (20030422)


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