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2005.12.13
 
 


グローバル主義に関する議論…

 Foreign PolicyのMoises Naim編集長が書き下ろした本(1)が議論を呼んでいるという。

 もっとも、日本ではさっぱり注目されていないようだが。

 それも致し方あるまい。

 日本の新聞を読んでいると、“グローバル化の波とは、世界の覇権国たる米国流の仕組みや文化が世界の標準になるということ”というトーンの解説はよく見かけるが、このことが、経済的にどのような変化を意味するのかについての洞察力を感じる意見には滅多に出くわさないからだ。
 もともと、面倒な議論は嫌いな人が多いのだろう。

 そもそも、リアリズムに徹すれば、「アメリカは自由市場経済」とか、「米国は小さな政府へと邁進している」いうのも幻想としか言いようがない。
 従って、米国主導のグローバリズムが、自由市場経済と政府干渉を抑える方向に進んでいると言う説にも無理がある。

 マクロで見れば、よくわかる。

 WTOでの主張を見れば明らかなように、貿易障壁を作り、輸出補助金をばら撒いているのは先進国であって、発展途上国ではない。先進国は自由市場を作ろうとしている訳ではないのだ。現実には、反自由市場主義的施策が行われている。

 ミクロで見れば、もっと鮮明になる。

 米国の西部は、軍需と知財で食べる独占型企業が経済を支えている。どう考えても、自由市場や小さな政府とは無縁な世界である。
 マイクロソフトにしても、政府の支援で伸びたと見ることもできるし、航空機メーカーとは国策企業以外のなにものでもなかろう。娯楽産業やソフトウエア産業の生命線、著作権についても、政府の保護なしには生きてはいけまい。
 こうしたシーンを見る限り、米国は、小さな政府方針を貫けるとは思えまい。自由競争優先ではない。

 当然ながら、西部で、Milton Friedman的市場原理主義が拍手喝采を浴びることなどない。
 自由市場を喜ぶのは、シカゴのような農産物・鉱産物・エネルギーの自由取引とヘッジビジネスが盛んな地域だろう。
 しかし、それは表面的な“金融”取引での話。どの分野を見ても、利権が深く絡む政治銘柄産業と言ってよいだろう。

 要するに、市場経済主義と言っても、実態はウオールストリートでの資金循環型経済を土台とすることを意味しているに過ぎない。世界をお金が駆け巡る仕組みの構築がグローバリズムの本質である。

 この仕組みを活用できる国が栄えるだけの話だ。
 現実に、世界の資本の大半は米国に流れ込む。従って、米国は栄え続けることになる。
 そして、その繁栄に惹きつけられ、人も大挙して流入する。これこそがグローバリズムの本質である。

 それでは、これでよいのか。

 ここが一番の問題なのだが、米国政府への単純な反撥や、ドグマ的主張ばかり。
 これでは話にならない。

 そんななかで、ようやく、まともな論議が始まりそうだ。(2)

 ちなみに、日本でよく見かける意見とはどんなものか紹介しておこう。

自由市場主義者はグローバリゼーションは発展途上国の貧困層を豊かにすると主張している。しかしちょっと待って欲しい。グローバリゼーションは発展途上国の貧困層を豊かにすると主張するには早計に過ぎないか。

自由市場主義者の真摯な姿勢が、今ひとつ伝わってこない。

例えば反グローバリズム派からはグローバリゼーションは発展途上国の貧困層に壊滅的被害を与えたと主張するような声もある。

このような声に自由市場主義者は謙虚に耳を傾けるべきではないか。

思い出してほしい、過去にも何度も自由市場主義者は反グローバリズム派の叫びを無視している。

自由市場主義者は反グローバリズム派のグローバリゼーションは発展途上国の貧困層に壊滅的被害を与えたという主張を間違いであるかのような発言をして、市民団体などの批判を浴びた。

陳謝したものの「真意が伝わらなかった」と発言の撤回はしなかった。

確かに反グローバリズム派には暴力的反対に走るという問題もある。だが、心配のしすぎではないか。

自由市場主義者の主張は一見一理あるように聞こえる。

しかし、だからといって本当に自由市場主義者はグローバリゼーションは発展途上国の貧困層を豊かにすると主張できるのであろうか?

それはいかがなものか。的はずれというほかない。

事の本質はそうではではない。その前にすべきことがあるのではないか。

自由市場主義者は、未来を担う一員として責任があることを忘れてはならない。

自由市場主義者の主張には危険なにおいがする。各方面の声に耳を傾けてほしい。

自由市場主義者に疑問を抱くのは私達だけだろうか。

グローバリゼーションは発展途上国の貧困層を豊かにすると主張したことに対しては反グローバリズム派の反発が予想される。グローバリゼーションは発展途上国の貧困層に壊滅的被害を与えたという主張を支持する声も聞かれなくもない。

自由市場主義者もそれは望んでいないはず。しかし自由市場主義者は先進国の国内利益集団を守るのである。

グローバリゼーションは発展途上国の貧困層を豊かにすると主張する事はあまりに乱暴だ。自由市場主義者は再考すべきだろう。

繰り返すが自由市場主義者は先進国の国内利益集団を守るのである。

自由市場主義者のグローバリゼーションは発展途上国の貧困層を豊かにすると主張したことは波紋を広げそうだ。今こそ冷静な議論が求められる。

 実は、上記の文章は、ウエブに公開されている「天声人語風メーカー ver.2.1」(3)で自動的に作成してもらった文章である。
 こんな議論だけは避けたいものである。

 --- 参照 ---
(1) Moises Naim「Illicit: How Smugglers, Traffickers, and Copycats are Hijacking the Global Economy」 Doubleday 2005.10
(2) http://www.foreignpolicy.com/story/cms.php?story_id=3270&print=1
(3) http://taisa.tm.land.to/tensei.html


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