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2009.10.6
 
 


昨今の政治状況を眺めて[自民党総裁選挙]…

 2009年9月は、ほとんど鳩山新政権のニュースばかり。自民党総裁選挙については、一応触れている程度。
 コレ、当然だと思うが。

 野党になったからだけではなかろう。論議が、あまりに無内容で、報道する価値が低すぎるからだ。なにせ、冗談かと思うような対立軸。
 「全員野球派」v.s.「若手登用派」に、「老若2極化選挙阻止狙いの登板者」の三択だというのである。しかも、政策論議と言うより、政敵の体質批判がメインの選挙戦と化した。これからの自民党は、この手で与党を追い詰めたいということか。
 日本の政治は混迷が予想される。

 それはともかく、結果は、ほとんどの人が予想した通り。
 こんなことは常識かと思っていたら、どうもそうではないようだ。「若手登用派」は、地方票が集まると踏んでいたというから、その感覚の落差には仰天。
 密室政治批判で効果があがるのは、自民党に投票してきた一般人。党員の感覚は全く違うことに気付いていないのだろうか。
 一般人が考える党員像を知らないのかも。生活や所属団体の都合上離れられないとか、イデオロギー的に他党など考えられぬ人達の集まりとしか見ていないのだが。
 この見方が当たっていれば、投票行動は自明。

 前者は「全員野球派」支持に決まっている。この層の、今の一番の関心事は、陳情ルートがどうなるかである。野党になっても、一定の力が発揮できるものか知りたいということ。予算への盛り込みや、割り振りで苦労を重ねてこなかった層に、一体なにができるのといったところだろう。もともと、政治家に期待されているのは利害調整能力であり、重鎮が好まれるのは当たり前ではないか。密室談義は必要悪でしかなかろう。
 この層にしてみれば、「若手登用派」など、使えそうにないということになろう。なりかわって発言すれば、「どんな新しいことをやるというのかネ。さっぱりわからないが」では。
 要するに、「野党として、その意気で、国会の論戦で頑張ってくれや。」といったところか。

 一方、後者は、「若手登用派」候補に票を入れることに躊躇したに違いない。人選ミスである。候補者本人の思想はどうあれ、社会党に屈して、イデオロギー的に方針転換した頃の、非宰相の自民党総裁イメージがダブルからだ。おそらく、民族主義者が支持することはあるまい。

 これでおわかにように、「若手登用派」の、単純極まりない“人事のChange”スローガンで、山が動くことなどあり得まい。

 自民党の一番の問題は、政策軸が定まらない点にある。規制緩和一つにしても、それぞれの業界を考えることが先に立つから、体面を保ちながら、丸く収める落とし所を探る政治になる。これでは、規制緩和の意味がない。しかし、組織を守るためには、それ以外に手はないのである。
 そんな政治に合う体制が派閥や長老体制というに過ぎない。

 そんなことがわからない訳でもなかろう。にもかかわらず、それを突破するような提案の欠片も見せず、対立候補者のネガティブキャンペーンを打つだけで勝とういうのなら、それは、謀略政治の道を切り拓くようなもの。

 そもそも、若手で与党の地位奪回というなら、落選した若手議員を引き連れ、地方を回る位のことをすべきではないか。そんなことも考え付かない候補に人気がでる訳もなかろう。
 体質が変わっていないという点では、若手の方がひどいかも。
 まさに、“Continuity, we can believe in”の世界。
 それこそが、保守ということかも知れぬが。


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