■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[15i釋蟲]■■■
釋水で触れた📖徐鍇(921-975年)[後世校訂]「說文解字繫傳」は通釈書だが、「說文解字」を伝える役割を果たしているから、原本でもある。

と言って、解釈を読もうという気は起きないが、筆者独自の、「爾雅」的な分類篇を添付しており、好感がもてる。「說文解字」の斬新な思想に触発され、分類観の重要性に気付いたからだろう。

容易に推定できるが、概念なき集合体である<蟲>篇は無いし、原初としての部首として認める気も無い。「說文解字」に従えば、規定上は部首であるものの、造字の根底として使われていないのだから、当然の姿勢。

付け加えると、分類階層レベルが異なる<畜>篇も無い。
さらに、<魚>類篇ではなく<水族>としており、論理的思考で編纂するとこうならざるを得ないと明確にしていることがわかる。
もちろん、これは儒教の尚古主義を揺るがしかねないから認められる訳が無いが、どうしても一石を投じたかったことがわかる。
再掲しておこう。・・・
【數】 二 三 四 五 六 七 八 九 十 百 千
【詞】於 者 尒 只 乃 曰 兮 于 粤 乎 可 曾 矤 矣 知 <釋詁 釋言 釋訓>
【六府】水 火 金 木 土 + 米
【地(土)山 川 厂 广 丼[井] 宀 <釋地 釋丘><釋山 釋水>
【天(觀象)日 月 云[雲] 雨 <釋天>
【人(生莫靈)手 足 爪 𤓯 身 目 肉 𦣻
【羽族】鳥 烏 舄 燕 鳳 焉 <釋鳥>
【水族】(蟲之長) 魚 龜 它 虹 <釋魚>
【獸類】(大者) 犬 羊 豕 馬 廌 鹿 兔 鼠 <釋獸 釋畜>
【禾竹之類】禾 來 尗 韭 竹 䑞 <釋草 釋木>
【十幹之類】甲 乙 丙 丁 戊 己 庚 辛 壬 癸 <釋天>歳陽&月陽
【十二支】子 丑 寅 卯 辰 巳 午 未 申 丣/酉 戌  <釋天>歳名
【_】

虫偏文字は多岐に渡るが、文字上では<它>グループであり、独立した一群にする必要無しという見立て。熟考の上で、{【人】-【羽族】-【水族】-【獸類】}という区分を編み出した訳である。
蛇崇拝を消滅させるつもりなら、<釋蟲>という篇を建てるべきでないということでもあろうが、鱗が水棲の要件とは言いかねると気付いたのであろう。鳥の<羽>は文字系譜で位置付けられているが、<鱗>は全く異なるのだから。
記載してはいないものの、昆虫とは翅虫とした方が妥当と言い出しかねない見方である。
「說文解字」を深く研究し続け、この書の提起する文字の系譜的秩序論が見えてきた結果とも言える。換言すれば、学問では"概念"形成こそが肝な訳で、学者として、そこらをどうしても伝えたかったのだと思う。

この方針は極めて重要。一応、階層レベルの混淆としたが、それ以上の問題がある。大陸での家畜化の歴史は古く、馴化動物種の数が50に達していてもおかしくない。従って、六畜が代表とされているものの、それは当該王朝の"人為"的規定。
この書は、その手の恣意的に創出された文字は二次的としている。原義を考える意味が薄いということだろう。・・・「爾雅」では重要な箇所である<親><宮 器 樂>もすべて削除されている。
徐鍇の地位は知らぬが、オイオイ大丈夫か。經典を無視し、こんなことを書いて。

  
     

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