■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[16g釋魚]■■■
「爾雅」では<蛇>文字は釋虫には登場しない。無脚鱗蟲として魚と外見上の同一カテゴリーとして扱われている。
 <中枳首蛇…【此四方中國異氣】
             ━━五方>@釋地
 <镻 蝁 螣 螣蛇 蟒 王蛇
       蝮虺 博三寸 首大如擘>@釋魚

 釋虫には"蝮"ありだが。

 <蝝 蝮蜪> 蝻…バッタ類幼虫
📖
       蝗的幼蟲(劉歆說…蝝 蚍蜉子)(董仲舒說…蝗子)
釋草にも<虺>[虺以注鳴]の記載がある。
 <盱 虺牀>
ここらについてはすでに当たり障りのない形で触れた。📖

・・・こうした見方で留めておくなら「爾雅」を面白漢字本として読むようなもの。それはそれで大いに結構なことだが、もったいない。ここは「說文解字」の著者の意気に感じて、一歩進んで、儒教的思考からの脱出を図る絶好の機会でもあるから。(言うまでもないが、「論語」に虫文字は一切使われていない。)

≪虫≫文字の核は勿論のことマムシ。
  虫:一名蝮 博三寸 首大如擘指
   [象其臥形 物之微細 或行 或毛 或蠃 或介 或鱗 以虫爲象]
大陸に於ける古代信仰の対象だった可能性が高いが、儒教国家化に伴い、捨て去られたと見てよいだろう。
【蚩[蟲]】  而 "蚩尤"最為暴 莫能伐…反黄帝
        氓之蚩蚩 抱布貿絲 [「詩經」國風 衞風 氓]
【禹[蟲]】  "舜""禹"之有天下也…初代夏帝

しかし、実在する生物としてのマムシは存在しているのだから、あからさまに些末な記載にしてしまう訳にもいかないから、「爾雅」編纂は結構苦労したに違いない。

≪虫≫
ムシ["真"虫]🕱
    虫 䖝  蝮𧐛蝠   蝁(镻[蛇惡毒長])
【クサリヘビ[鎖蛇]🕱
    虺𡯥虺𧉇𧈰  𧊫螝𧏩  蝰  䖠  𧈮
【みづち】
    虬 虯 蛟  𧌟
【ヘビ/くちなわ】
    蛇 虵𧉮𥝀 𧕇
【ニシキヘビ[錦蛇]/にしきへみ/をろち→うわばみ】
    𧎔蟒蠎𧏉
   【≒やまかがち】 𧍴
【大ヘビ[錦蛇→ボア アナコンダ]
    蚦𧊨蚺
【神ヘビ】
    螣 𧑥 𧔥 𧔶 𧖍 {⺼火収虫}
【眷属ヘビ】
    蜦[蛇屬 K色 潛于神淵 能興風雨]  蜧
【異気ヘビ】
    螭[若龍而黃 北方謂之地螻]
【怪ヘビ】
    "蜰𧔥"@「山海經」西山經
【ともゑ[巴 or 鞆繪]】
    (爬)蟲   <巴蛇>食象@「山海經」海内南經
【(ボウ)ジャ[(帽)蛇][コブラ]🕱
≪䖵≫
≪蟲≫
≪它≫虫[虫而長 象冤曲垂尾形 上古艸居患它 故相問無它乎]

「說文解字」は部首として"虫"で一括していない点は流石。辞書では無いから当然ではあるものの。
(小篆創出官僚達がその時点で定めた字義を原義と設定すれば、自ずと、文字体系が見えてくる。無自覚だっただろうが、そこに儒教国家の思想基盤ありと考えるべきとの主張が展開されている。つまり、文字宇宙論の書。明らかに典故主義では無いし、儒教的フェイクを最も嫌う点では、根っからの反儒教主義の儒教官僚の思想書ということになろう。)
  
     

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