■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[15axx釋蟲]■■■
比定の妥当性は検討しようがないのでもともとは記載するつもりはなかったが、同じことをする手間はご免被るので、添付。
蛹や幼虫の名称が目立っており、食分類用語が多そうな印象。異字体が多いのは、食材として何を重視するかという価値観というか食文化の違いから生まれている可能性が高そう。
(食の名称が多いのは、当たり前。和語の"鯛"など、漁と無縁で調理もしない現代人には、とても覚えきれるものではない。かなり統一化されているが、方言を除外してもすぐにこの状態になる。・・・真 金目 血 黒 黄/花/連子 梅色 青 白甘 赤甘 糸撚 平 石 疣 目 的 石垣 鷹 羽 胡椒 天竺 笛 黒星笛 浜笛吹 目一 (胡廬) (葉鯛) 青舞鯛。)
--- 釋蟲 ---
螜 天螻  =𧕱/蝲蝲蛄…ケラ[螻蛄]mole cricket
蜚 蠦蜰  =蜚蠊/蟑螂…ゴキブリ[御器噛]cockroach
螾𧊔 入耳 =䗅𧕯/蚰蜒…ゲジ[蚰蜒]house centipede
蜩 蜋蜩 螗蜩 蚻 蜻蜻 蠽 茅蜩 蝒 馬蜩 蜺 寒蜩 蜓蚞 螇螰 ≪蜩≫
蛣蜣 蜣蜋 =蛣螂…ふんころがし[糞虫]scarab beetle
蠍 蛣𧌑  =小蠹…キクイムシ[木喰虫]bark beetle
蠰 齧桑  =桑天牛…クワカミキリ[桑髪切]mulberry longhorn beetle
諸慮 奚相 …癭蚊@山藤虫瘤
蜉蝣 渠略 =螶𧎾…カゲロウ[蜉蝣]shadfly
蛂 蟥蛢  =異麗金龜…アオドウガネ[青銅鉦@黄金虫]green chafer
蠸輿父 守瓜 =黃守瓜/金花蟲…ウリハムシ[瓜葉虫]cucurbit leaf beetle
蝚 蛖螻   =螻蛄↑
不蜩 王蚥  …≪蜩≫類大型種↑
蛄䗐 強䖹  =米象鼻蟲…コクゾウムシ[穀象虫]maize weevil
不過 蟷蠰  =蟷螂…カマキリ↓
  其子 蜱蛸
蒺蔾 蝍蛆  =蜈蜙…ムカデ[百足]centipede
蝝 蝮蜪   =蝻…バッタ類幼虫
蟋蟀 蛬   =蛩/蛼/蜻蟀…コオロギ[蟋蟀]cricket
蟼 蟆    =虾蟆…ヒキガエル[蟼]蟾蜍toad
螁 馬䗃   =蚐/馬蚰…ヤスデ[馬陸]diplopoda
蛗螽 蠜 草螽 負蠜 蜇螽 蜙蝑 蟿螽 螇蚸 土螽 蠰谿 ≪螽≫
螼蚓 蜸蚕  =蛐蟮…ミミズ[蚯蚓]Earthworm
莫貈 蟷蜋 蛑 =蛑虰…カマキリ[鎌切]mantis
虰蛵 負勞   …トンボ[蜻蛉/蜻蜓]dragonfly
蜭 毛蠹   =蛿…けむし[毛虫]caterpillar
蟔 蛄蟴   =蛅蟖…イラガ(幼虫)[刺蛾]
蟠 鼠負   =𧑪𧓙…ダンゴムシ[団子虫]woodlouse
蟫 白魚   =蛃魚…シミ[衣魚/紙魚]silverfish
䖸 羅    =𧒎…ガ[蛾]moth
螒 天鷄   …クツワムシ[轡虫]bush cricket
傅 負版 ⇒蝜蝂:小虫@寓話 or
         =獵蝽…サシガメ[刺椿象/刺亀虫]assassin bug
強 蚚    =強䖹/䗘𧌏…オオゾウムシ[大象虫]
蛶 螪何   n.a.
螝 蛹    =𧍛…さなぎpupa
蜆 縊女   =𧖙…(蝶蛾の)さなぎ
蚍蜉 大螘 小者螘 蠪 打螘 螱 飛螘 其子蚳 …≪螘≫類
次蟗 鼅鼄 䵹鼄 鼄蝥 土䵹鼄 草䵹鼄 ≪黽≫
土蜂 木蜂  =黃蜂/蜾蠃…ドロバチ[泥蜂]potter wasp
蟦 蠐螬   =䖭…スクモムシ(コガネムシ類幼虫)[蠐螬/蛒]
蝤蠐 蝎   =蛣𧌑/𧒤…カミキリムシ[髪切虫/天牛/蠰]longhorn beetle
蛜威 委黍 =蛜蝛/蛜𧑓…ワラジムシ[草鞋虫/鼠姑/蟠]rough woodlouse
蠨蛸 長踦 =蚑/蟢子…アシナガグモ[足長蜘蛛]long-jawed orb-weaver
蛭蝚 至掌 =水蛭(≠螻蛄)…ヒル[蛭]leech
📖
國貉 蟲蠁 …さなぎ↑
蠖 蚇蠖   =蝍𧑙…シャクトリムシ(尺蛾の幼虫)[尺取虫]looper
果臝 蒲盧 ⇒蜾蠃 …細腰蜂
螟蛉 桑蟲  =螟𧕅…あおむし(蝶蛾の幼虫)[青虫]green caterpillar
蝎 桑蠹   …クワカミキリ↑
熒火 卽炤 ⇒螢火蟲 =宵燭/熠燿…ホタル[螢]firefly
密肌 繼英 ⇒𧓓英  =蓑衣蟲…ミノムシ[蓑虫] bagworm
蚅 烏蠋   =𧉵…けむし(蝶蛾の幼虫)[毛虫]hairy caterpillar
蠓 蠛蠓   =薎蠓…ヌカカ[糠蚊]no-see-ums
王蛈蟓    =蛈蟷/蛈母…トタテグモ[戸立蜘蛛]trapdoor spider
蝝 桑繭 雔由 樗繭 棘繭 欒繭 蚢 蕭繭 ≪繭≫

【付言】
釋蟲の主眼は収録数から昆虫ということになるが、非外骨格蟲迄並ぶので、その方針はよくわからない。しかし、小さな躯体の蟲を概念的に整理するのはなまやさしいものではない。("昆虫"とは形式的で意味の薄い用語である可能性も捨てきれない。)
現代でも、昆虫世界の全体像把握は極めて困難と言わざるを得ない。・・・
陸棲と水棲程度の粗い分類さえ機能するとは思えないからだ。気候帯植生の違いは(常緑・落葉・針葉//灌木//草原)小さな虫にとっては越えがたい区分であるが、この程度の区分けでは、昆虫棲息実態からすればはなはだ心もとない。蝶を知ればすぐわかる様に、食性の細分化ができあがっており、ほぼ植物種毎に専属昆虫種が存在する。しかもそれに対応した擬態や転用不可な専用特殊器官を有している種が例外的な訳でもない。これで、食部位の花 葉 幹/稈 根での棲み分けがあるのだから、途方もない種の数になろう。これだと、機能部位や体躯での分類は微視的には正論だが、総体を眺める場合は実態を無視した空論に映ってもおかしくない。
さらに、そうした様々な虫のなかから特定種を狙う種が別途存在する訳で。
しかも、外骨格構造なので成長には脱皮が不可欠だから、変態が基本となるが、これも一様ではない。その視点も分類に入れ込むとなれば、もう訳がわからなくなってしまう。それぞれの形態ごとに名称が必要となれば、整理どころではなかろう。
もちろん、獸の様に、外見の違いでの分類も、その気になりさえすればすぐできる。脚や体節の数、翅の形状、採餌器官の特徴など誰でもが気付くのだから。しかし、ゴチャゴチャした多様性の確認ができるだけで、分類観に結びついているとは言い難いものがある。社会制度が全生活に組み込まれている蟻と蜂の位置付けも、外観から規定するのも難しかろうし。
実に、厄介極まる。

   
     

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