■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[19aaxx釋畜]■■■
字体論議はとりとめないので、深入りは避けたいが、補足しておこう。・・・
[象馬頭髦尾四足之形]の字体変遷で、楷書が灬を導入した理由は、<火畜>という見方をしたかったからかも知れない。[源順:「和名類聚抄」@934年]
・・・という手のお話は実はどうでもよい。真意など確かめようがないのだから。

重要なのは、普通に字体を眺めて、当該王朝官僚の意図を感じ取ることにある。例えば、・・・
<馬>の甲骨文字は動物の絵文字としてはほぼ完成形だと思う。
 上が頭で下が尻の側面から見た姿。
  大きな頭と長い胴体に尻尾。
   胴体背側前部に鬣。(頭と胴の間に接続部を加えることも。)
   胴体腹側前後端に足。(蹄を加えることも。)
   頭部は区画分けで大きな目の存在を誇張。
これだけ質の高い造字を敢行したということは、殷王朝は文字の体系化を済ませていた可能性が高い。(前殷文字が存在していることを示唆している。)

さて、そこで、「說文解字」。項目として立てている文字は秦王朝の公式文書用文字の小篆に統一。その説明文字は漢王朝規定の隷書と思われる。
その小篆文字だが、絵文字の線表記化が進んでいるとはいえ、殷朝甲骨文字とは全く異なるデザイン。
   ⿱上部:頭首一体…⿰[目+彡(横直線化)]
    下部:足&胴[𠂊]に尾⿻[h+Λ]
<目-鬣-尻尾>を目立たせる大胆な抽象化が行われているのは歴然。

字体で検討しているだけあって、「說文解字」はそこらをよく見ている。
不安や恐怖を感じると真っ先に反応し、自己表現する3箇所に絞っていることを見逃していない。この文字は、もともと4足を表示していない。四肢強健で性温和な奇蹄大型動物という以上の解釈は見たことがないが、大陸での馬の役割は一に軍事なので、この文字が怒あるいは武に相当するとの見立ては鋭い。(日本の辞書でもこの意味は無いようだが、馮には訓として"いか-る"が掲載されていることがある。)
  
  "馬"
     

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