■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[19b釋畜]■■■
釋畜の牛屬は、中華帝国官僚の心根を垣間見せる記述になっている。角の箇所を除くとこんな具合。・・・
--- 牛屬 ---
家牛/黃牛
  犉/七尺牛/K唇黃牛
  牰/K眥黃牛
  犚/K耳黃牛
  牧/K腹黃牛
  犈/K腳黃牛
   /黃牛仔()牛@2歳以下
   牬/體長黃牛
   欣犌/絶有力黃牛
犘牛…牛重千斤@巴(四川)[「廣韻」]
犦牛…野生瘤牛(封牛 峰牛)@疏勒國[「順帝本紀」]
犤牛…矮小牛(稷牛)[「初學記」]
犩牛…犪牛@岷山[「山海經」]
犣牛…旄牛/牦牛/氂牛ヤク
犝牛…無角牛@冉駹夷[「西南夷傳」]/(犐)
犑牛不詳@湨水(河南溫縣)
(白襪子:Gaur 爪哇野牛/白臀野牛:Banteng 高棉牛:Kouprey)
(牨/犅:スイギュウ)
[化石]
草原野牛ステップバイソンsteppe bison
原牛オーロックスaurochs
・・・実に面白い。黃牛あるいはK牛という語彙は使われていないが、体色が部分的にKである牛についてはこだわりがあることがわかる。乗馬出陣を考えれば見た目の美しさは重要だろうが、食牛であるから、品評は黒色浸透の様子で決まっていたのだろうか。

黒色牛肉質が最高級というなら、その名称がありそうなものだが。ただ、おそらく産地は山東の一部で、どの地域もほとんど褐色牛一色だったから、常用文字としては残っていないのかも。
一方、見ても聞いてもすぐわかる異種の牛の名前をズラリと並べるセンスもなかなかのもの。珍しい牛への憧れ感紛々。しかし、中華帝国の極南地棲息種は掲載していない。家畜化や捕獲移動が難しいのでその存在を知らなかっただけかもしれないが。明らかに畜の水牛の扱いもよくわからない。知らない筈がないので。(黄牛 水牛 牦牛は古代から耕田役畜。)

言うまでも無いが、「說文解字」は、そうした表面的な興味で記述方針を換えることはない。と言うか、「爾雅」は畜の概念は通俗解釈にまかせているだけのこと。文字の本質を考えたい訳ではないから当然。
冒頭から、畜化(交配管理と設定ルールへの馴化)で最重要な文字をはっきり示していることがすべてを物語る。
  牝/𤘥[畜母]⇒一般化♀(めケモノ)
  牡[畜父]⇒一般化♂(をケモノ)
勿論、儒教国にとって牛とは何かも。
  牛:大牲 件,事理
  犧(犠):宗廟之牲
  牲:牛完全
  物:萬物 牛爲大物 天地之𢿙 起於牽牛
体色については、黃 白 Kが触れられており、全体観が確立していることがわかる。
  牷:牛純色
例外的種らしさを感じさせる、無角牛と一角牛は補遺的に末尾に収録しているのも成程感を醸成している。(<犍:犗牛>は繁殖用に不適と見なされた暴れ牛の去勢後だろう。)
  
  
     

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