■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[13s釋草]■■■
【齧】と【羊歯】(無種子植物)📖の補遺。

彫蓬と苦堇は植物への知的好奇心全開(園芸大流行)となった江戸期に"鋭意"同定が進められたようだが📖、古代の中原文化の視点と西洋的実証重視の博物学を取り入れた見カでは違いがあり過ぎかも。

・・・彫蓬=ヒホウとの指摘について見ておこう。
齧 彫蓬> <薦 黍蓬
常識的には≪蓬≫類と考えざるを得まい。従って、江戸期の知られた名称のヒホウではない。
   (≠ヒホウ[緋鵬]…シュンラン[春蘭])
    ≒魁蒿ヨモギ[蓬/艾/蕭]Japanese mugwort
     (《艸》蓬[蒿] 艾[冰臺] 蕭[艾蒿])
そうなると、西域で風に飛ばされて地上を転がる艾蒿類の草の様子を示している言葉と見たことになろう。
   飛蓬ヒホウ
   自伯之東 首如飛蓬 豈無膏沐?誰適爲容! [「詩經」國風 衛風 伯兮]
当て所もなく彷徨う、根無し草というか風来坊的様子を詩的に表現しており「爾雅」好みの雅語と言えそうだから、これで一件落着としがち。
但し、藜蒿といった"菜"扱い種や、餅に入れたりするヨモギとは少々異なると考えた方がよさそう。
   香絲草アレチノギク[荒地野菊](ムカシヨモギ)daisy

しかしながら、大いなる疑問が残ったママ。
何故に、"齧"(《齒》[噬])とも言われるのか、説明に窮するからだ。
ところが、「說文解字」を眺めていると、これとは違う見方を示唆していそうに思えてくる。・・・
   彫蓬=真菰(苽[雕胡])["赤米"&"菜"]📖⇒齧
つまり、ここは、"齧-蓬 & 薦-蓬"という対比表現で記載していることになる。そう解釈すれば、納得がいく。(《𢊁》薦[獸之所食艸])
   菰マコモManchurian wild rice

マコモは現代日本でも食材として通用しているが、それは菌の作用後の収穫物。名称としてはマコモダケと呼ばれている。おそらく、それに当たるのが、出隧。
  (雕苽→菌→蔣[苽蔣])   …彫≒雕/G
出隧 蘧蔬>   (蘧[蘧麥])

次は、菫の類。その気になれば、いくらでも細分類可能そうな植物。
こちらの齧は意味が違っていそう。
齧 苦堇>  (…堇菜類)
   紫花堇菜コマノツメ[駒爪]/タチツボスミレ[立坪菫/壺菫]
   …托葉は披針形。その縁は櫛歯状に裂けている。

そしてシダ。・・・
緜馬 羊齒> (…蕨類)
 (無花無種子繁殖@生命力)⇒山草⇒真蕨
 (羊巻角形状若芽@春(生命復活))⇒羊
 (葉薬効)⇒霊草
  (鳥羽様葉)⇒fern
  (整列切裂葉)⇒羊歯
  (葉垂)しだれる⇒羊朶
  (葉裏銀色)[Jp]⇒裏白⇒歯垂⇒齢垂⇒齢足
緜馬 羊齒
(粗莖)鱗毛蕨/綿馬オシダ[雄羊歯]wood fern/male fern
  (駆虫作用[葉柄基部〜根茎])⇒綿馬"貫眾"   …緜≒綿

濼 貫衆> (…蕨類)
  貫眾ヤブソテツ[藪蘇鐵]/オオワラビ[大蕨]
  …@濼水(齊魯)→[薬草]𤄶。
倭人は澱粉質の蕨粉を食用としたが、大陸では薬用のみ。現代の中藥名 植物名 薬効とは一致していないと見た方がよさそう。西洋発シダ系駆虫薬が流入し、使用シダ名が混乱したのだろう。貫眾は「出雲風土記」(意宇郡 仁多郡)で引かれているから誤解し易いが、おそらく灰汁抜き処理無しでも食せる位置付けだろうから、種は異なる。
  日本双盖蕨オニヒカゲワラビ[鬼日陰蕨]/メシダ[雌羊歯]
(毒蕨峻別能力から見て、最強種が選定されている筈なので、大陸古代での貫眾はオシダ。)

この記載を軽々しく考えない方がよい。儒教国の学者とは優秀な王朝官僚であり、熟慮の上で決定した筈。古代文化に無知な素人の情感で推定した方がましという訳ではない。付言すれば、図鑑の記載事項は写真や図絵も含めて、編纂者の観点で記載されているのでママ参考にすべきではない。
  
     

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