■■■ 小篆文字検討@「說文解字」「爾雅」[一]■■■ 「說文解字」の"一"の見立ては卓抜。 当代の用法は"1"だった筈であるにもかかわらず、小篆創成官僚は、漢字の緒言として位置付けるていると看破しているからだ。もっとも、現代のセンスでこれを解釈すれば、数字たる文字を、漢代のイデオロギーで強引に意味付けていると見なされることになろうが。それは漢代の支配層の人々の感覚でも同じことがいえると思うが、イデオロギー的に拍手喝采を狙ったものではない。 以下を見ればはっきりしているように、系譜上で小篆表記数字を示すことで、小篆創成官僚は、1〜10という連続数字の標準化を目指して字体デザインをしていないことがわかるからだ。数字の順列としての、十干の1〜10(甲〜癸)と十二支の1〜12(子〜亥)とは違うとの指摘。 要するに、"一"は他の数字との連続性が無い孤立した文字ということに。これでは数字としては機能しまい。 卷一 卷二小 卷三…丩古 卷十三…黽卵 卷十四…四…五六 ↓四五六 →[十干] [#503]🅱 とはいえ、小篆成立期に官僚層が「老子」の考え方に靡いていたとは考えずらいし、甲骨や金文の出自に「老子」的観念が関係しているとも思えない。陰陽五行に至っては、始皇帝が指向していた理念と見なすのは無理があろう。 それに、「說文解字」編纂者は「老子」の影響を受けていた訳だし。(許慎[釈記]葉徳輝[輯@1895]:「淮南鴻烈間詁」) 「老子」 昔之得一者 天得一以清 地得一以寧 神得一以靈 谷得一以盈 萬物得一以生 侯王得一以爲天下貞 其致之一也 ①天無以清 將恐裂 ②地無以寧 將恐廢 ③神無以靈 將恐歇 ④谷無以盈 將恐竭 萬物無以生 將恐滅 ⑤侯王無以貞 將恐裂 故貴以賤爲本 以下爲基 是以侯王自謂孤寡不轂 此非以賤爲本耶 非乎 故致數譽無譽 不欲琭琭如玉 珞珞如石 [第三十九章] 道生一 一生二 二生三 三生萬物 萬物負陰而抱陽 沖氣以爲和・・・ [第四十二章] {道は1(元気)を生み、1は2を生み、2(陰陽)は3を生み、そして3は(他の)すべてを生んだ。 万物は陰を負い陽を抱き、沖気を以って和を為す。・・・} ・・・「老子」がここで深遠なる哲学を提起しているとは言い難い。宇宙創成観が描かれているとはいえ、主張の核はあくまでも倫理学@政治社会論だろう。しかも、それに不老長生思想が被されていたりするから、混沌としている。 従って、「說文解字」は漢王室の考え方に沿って編纂されたので、"一"を文字秩序のイの一番に位置付けて、それを<惟初太始>としたのだろうとの推測は妥当に映る。 しかし、時代的には遠く離れているものの、辺境の吹き溜まり文化の地での民族的伝承、倭語を残すべく執筆された「古事記」(冒頭と序)を考えると、<惟初太始>="一〜丄"は東アジアの古層精神を反映している可能性もあろう。("二/貳"は数列で異なる系譜。) 付け足しておくと、"一"を緒元と感じるのは、"一画であること"以外に無い、という点。縦棒や斜線、あるいは点ではなく、横棒が原初感を醸し出すという理屈が成り立つ必然性は実は薄い。トーテム信仰の時代を想定すれば、最初に創作された一画文字は"𠃉"とか、"乙"の可能性が高いのでは。📖部品素一画部首文字は色々存在しているのだし。・・・一[#1]🆂 二画はさらに多い。・・・{丄 八/丷 凵 丩 十 又 𠂇 几/𠘧 卜 刀/刂 乃 丂 𠙴 入 冂 冖 人/亻/𠆢 𠤎 匕 儿 卩/㔾 勹 厶 厂 巜 匚 二 力 七 九 丁 了} 丅 乂 冫 亠 乄 乜 刁 㐅 丆 𠄏 龴 Jp.〆 📖2筆画部品 ≪一≫ (釋)惟初太始 道立於一 分天地 化成萬物"大極"と記載されているテキストもある。 (代替字)[古字]弌→[写]壹 (蜀)→[Jp.省]壱 𭟮 …"弌"は戦国期楚系簡帛に見える。 甲骨金文では報告例無しとされているようだ。 (部属) [+兀]元:始 🅱 [+大]天:顛…至高無上🅱 [+不]丕:大 [史]吏:治人者 (他合字例)𤰓 𬂜 𫢅 㝉 𬏚 𤕬 𫜢 㝉 弌 閂 (記号:1)[算木(縦置)]丨 →[号碼(縦式)]〡 [Jp.@漢文]㆒ (音符)[Jp.片仮名]ー [句読点]HYPHEN (他言語符号)DASH MINUS (大分類的字義) One(each/every/another)ひ(と-tsu)/(-ji) Single/suprime(first, alone or whole/unify) v.s. Whole/allい(-tsu)/(-chi) Jp. (name)おさむ はじめ まこと/まさ ・・・ (C) 2026 RandDManagement.com →HOME |